これまでに味わったことのない甘さ
最初に食べたときの印象は、「甘い、すごく甘い!」でした。今まで食べたホワイトアスパラガスのなかでも、群を抜いて甘かったですね。注文を受けたお弁当に使ってみたりもしたんですが、「あれは何?すごく甘いね」と、お客さまに尋ねられることもありました。
国産のホワイトアスパラガスはそもそも流通量が少ないですし、どうしても加工品のイメージが強い。この辺りだとホワイトアスパラを知っている人もまだまだ少ないので、どう紹介しようか、どんなふうに広げていこうかとまず考えました。
「フレッシュなホワイトアスパラって、こんなにおいしいんだよ」とわかってもらうために、初めて「白い果実」を使わせてもらった昨シーズンは、できるだけ手を加えず、シンプルに丸のまま、ホワイトアスパラのみの単品で提供することが多かったですね。
「白い果実」のおいしさをストレートに味わってほしいと考案した「ホワイトアスパラガスのミルク煮」。グラスを氷やかまくらに、粉砂糖を雪に見立て、冬の浄法寺をイメージした一皿。今回特別に、漆職人である馬場の妻が手がけた浄法寺塗りの皿に盛り付けてもらった
同じ土壌で育った食材と合わせてみたい
私の店は、馬場園芸から車で30分足らずの場所にあります。アスパラは時間が経つとどんどん筋っぽくなってしまいますが、この距離だから、とびきり新鮮なホワイトアスパラを提供してもらえます。これは同じ市内で栽培している最大のメリットです。やはり新鮮なものは、味も食感もぜんぜん違います。「ホワイトアスパラってもっと筋張っているものだと思っていた」と話すお客さまもいましたね。
料理人としては、食材の選択肢が増えるのはとてもうれしいことです。実はほかの洋野菜も作ってくれよと、馬場君に頼んでいるところです。彼は勉強家なので、新しいことにも果敢に挑戦し、きっといい野菜を作ってくれると思います。
二戸には短角牛や地鶏など、「白い果実」と合わせてみたい食材がたくさんあります。同じ土壌で育ったものは相性がいいものです。来シーズンが今から楽しみです。
レストラン・ボヌール(Restaurant Bonheur)
ボヌールのシェフ古舘貢一さんと奥様の麻衣子さん。
2007年にオープンした、二戸産の食材を使ったフレンチやイタリアンが味わえる、地元で親しまれる人気店
岩手県二戸市石切所字栃ノ木
TEL 0195-26-9015
不定休