今年もホワイトアスパラの季節が近づいてきました。今浄法寺町は真っ白な雪で覆われています。
三右エ門のホワイトアスパラは、「伏せ込み栽培」という、少し特別な方法で育てています。まず、しっかりと寒さに当てて糖を蓄えたアスパラの根っこを、専用の掘り取り機で丁寧に掘り上げます。

実は今年の掘り取りはこれまでで最も遅い掘り取りとなりました。その理由は、温暖化の影響で秋が暖かくなってきたため、アスパラに必要な寒さが足りなくなってきました。その結果、アスパラは太いものが少なくなり、収穫量も減っていました。なんとかこの状況を改善し、毎年期待して待ってくれているお客様に最高のホワイトアスパラを届けようと、今年から3週間掘り取り時期を遅らせるという大胆な行動変革を起こしてみました。その結果、雪の積もった畑からアスパラの根っこを掘り上げるという状況になってしまいました。

掘り上げた根は、そのまま畑で育てるのではなく、ビニールハウスの中へ引っ越しさせます。ハウスの地面にはパイプを埋設し、ボイラーで温めたお湯を流すことで、ゆっくりと地温を上げていきます。
この環境に置かれた根は、約3週間後、「もう春が来た」と勘違いして芽を出し始めます。雪深い冬の岩手で、まるで春の訪れを先取りするように伸びてくる真っ白なアスパラ。
雪のある時期に収穫されるホワイトアスパラは、世界的にも珍しい存在です。
寒さをしっかり経験した根が生み出すため、えぐみが少なく、甘みが強く、みずみずしい。私たちは、このホワイトアスパラを「白い果実」と名付けました。美味しさは、収穫の瞬間ではなく、冬の準備から始まっています。
